相続対策

子どもがいない夫婦・DINKSの相続

わが国の家族の形は、戦前の大家族制度から高度成長期の核家族化を経て、時代とともに変化してきています。

かつて、夫婦と子ども2人の家庭がいわゆる「標準世帯」として典型的な家族構成の概念として浸透していました。

しかし、近年は、DINKS、シングルファザーやシングルマザー家庭などの増加により「家族の多様化」が進んでいます。

 

家族の形によって相続もそれぞれ対策が変わってきます。

そこで、今回のコラムでは、子供がいない夫婦・DINKSの相続対策について考えていきたいと思います。

 

【話の前提】

千葉一郎さんと花子さんは夫婦2人家族です。

一郎さんのご両親は既に他界されています。ご兄弟は弟さんと妹さんがいて、お2人ともご健在です。

なお、一郎さんには現在1億円の財産があります。

 

【税理士との会話】

千葉一郎さん:先生、今日は将来の相続について相談にきました。

うちには、子供がいないのですが、私の相続が起きた時っていったいどうなるのでしょうか?

 

税理士:一郎さんのご両親は既に他界されていましたね。ご兄弟は、弟さんと妹さんのお2人で間違いないでしょうか?

そうしますと、現時点では、一郎さんの相続人は奥様の花子さん、弟さん、妹さんの3人となります。

それぞれの法定相続分(相続できる割合)は、花子さんが3/4、弟さん、妹さんが1/8ずつになります。

したがって、花子さんが7,500万円、弟さん、妹さんがそれぞれ1,250万円ずつの財産を相続することなります。

 

千葉一郎さん:そうなんですね。私が亡くなったあとのことを考えると、花子の生活が心配なので、全部の財産を花子に相続させることはできないのでしょうか?

 

税理士: そういうことであれば、花子さんへ全ての財産を相続させる旨の遺言書を用意する必要があります。

 

千葉一郎さん:遺言を用意すれば、花子に全部の財産を相続させることができるんですね。

 

税理士:はい。そうです。

遺言がない場合、配偶者と義理の兄弟姉妹が遺産分割協議を重ね、財産の分割方法を決める必要があります。

通常は、配偶者と義理の兄弟姉妹はそれほど親しくない間柄であることが多いため、話し合いがなかなか進まず、トラブルに発展することが珍しくありません。

遺言があればこのようなトラブルを防ぐことができるので、花子さんも安心ですね。

 

千葉一郎さん:そうですね。花子には余計な心配をかけたくないので、さっそく遺言の作成を検討します!

 

税理士:ところで、一郎さんはご長男ですよね。お父様から千葉家代々の財産を相続されていないのですか?

 

千葉一郎さん:私は転勤族で長い間地方に住んでいたこともあって、弟が実家を継いでいるんですよ。そのため、千葉家代々の財産は弟が相続しています。

 

税理士:そうなのですね。それなら問題ありません。

 

千葉一郎さん:どういうことですか?

 

税理士:長男である一郎さんが、親から相当の財産を引き継いだ場合には少し注意が必要です。

花子さんへ全ての財産を相続させる旨の遺言書を書いても、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺留分減殺請求をされる心配はありません。

しかし、花子さんに財産をすべて相続させてしまいますと、将来、花子さんの相続が起きた時には、花子さんの親族に千葉家代々の財産が渡ることになります。

一次相続・二次相続の財産の流れ

後々のことを考えると、先祖代々の財産などは、ご実家を引き継がれる方が相続したほうがよいケースもあります。

相続人に兄弟姉妹がいる場合にはこの点に注意して遺言書を作成する必要があります。

 

 

配偶者に全ての財産を残したい方は遺言書が効力を発揮します!ただし、注意が必要です!

  • 配偶者に全財産を相続させたい方は、その旨の遺言を準備しておくことをお勧めします。
  • 兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺留分減殺請求をされる心配はありません。
  • 遺言書を書いていなければ、遺産分割協議の際に配偶者と兄弟姉妹との間で争いが生じることもありますので、遺言書を用意しておくとよいでしょう。
  • 先祖代々の財産がある場合、配偶者がすべての財産を相続すると、その財産は配偶者の親族に承継されていくことになります。したがって、将来の親族間トラブルを回避するためにも、事前に夫婦間でよく話し合いをしておきましょう。

 

 

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